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炭酸泉の特性と長湯温泉 

(1)遊離二酸化炭素の気化現象        

現状国の基準では、温泉1kg中に1,000mg以上(1,000ppm以上)の遊離二酸化炭素(炭酸ガス)を含んでいるものを『二酸化炭素泉』、1,000mg以下のものを『炭酸水素塩泉』と区分しています。炭酸ガスが含まれる液体には、皆様もご存知のコーラやラムネに代表される炭酸飲料があります。コーラの缶を振ってコップに注ぐと、泡が勢いよく出て、すぐになくなってしまいます。これは炭酸ガスが振動によって急激に気化し、俗にいう『炭酸が抜けた』状態にあたります。温泉施設では源泉から動力ポンプを使って強力に揚湯すると、これと同じ現象が起こりますので、源泉からそろそろと運ぶことが理想とされます。
また、「温まったコーラから炭酸が出なかった」という経験がないでしょうか。熱が加わって炭酸成分が気化してしまう典型的な事例です。温泉を定義するひとつの指標に「25度以上」というのがあります。25度以下は鉱泉として分類され、入浴する為には加温をしなくてはいけません。また、45度以上になりますと、放置して冷ます或いは加水せねばならず、いずれも想像以上に早く、炭酸成分は蒸発してしまいます。
これらの炭酸ガスの気化現象は、温泉の成分分析を行う場合でも、数値の誤差が生じる原因になっています。長湯温泉旅館組合では、平成18年10月13日に遊離二酸化炭素濃度が試料採取後の経時変化でどの程度減少するかを試験しました。結果は表1のとおりで、これを衰退グラフとして図1に示します。(試験者:住化分析センター大分事業所)
表1 分析開始までの経時変化
採取後の放置時間 二酸化炭素分析値〈mg/L〉
直ちに 819
 5分 487
10分 263
20分 82
図1 衰退グラフ
二酸化炭素濃度

(ppm)
炭酸泉の含炭酸量は、季節や気温でも変化しやすく、温泉分析は同じ手法で行われていても、同じ分析者やスピードで行われていなければ違いが生じることが特徴として挙げられます。また、同分析機関は課題として試料採取後から測定までに10〜20分程度の時間を要している現状などから、遊離二酸化炭素を過小評価している可能性がある危惧性が報告されています。

(2)長湯温泉旅館組合による独自調査

長湯には63もの泉源があり、平成18年10月に有料の入浴施設27箇所を分析したところ、前回分析時よりもはるかに高い遊離二酸化炭素量が検出されました。(表2)
また炭酸濃度が1,000ppmを越えるいわゆる炭酸泉は7箇所あり、全体平均値は777.7ppmと極めて高いことが判明しています。(表3)

(3)長湯温泉に存在する2系統の炭酸系温泉と『湯の品質』

長湯温泉は、重炭酸土類泉と二酸化炭素泉の2系統の温泉に大別されます。炭酸ガスの早い気化現象を考えますと、分析表での遊離二酸化炭素濃度表示もさることながら、消費者に良質な炭酸泉を提供するには「源泉かけ流し」がいかに重要であるかという事がお分かりいただけると思います。

また、ジャグジーやうたせ湯は、炭酸泉の効能を活かせないばかりか、循環に必要な塩素を投入しなければなりません。長湯温泉は、温泉本来の効能を活かすために、一度浴槽に流した湯はそのままかけ流してまいりました。
@長湯に多く見られる高温(40〜50度)でありながら高濃度の炭酸を含む重炭酸土類泉。源泉が浴槽から近く、「かけ流し」をしていることで、浴槽内でも高いCO2溶解度(水に溶け込める量)を保っている。洗い場や湧出口付近に付着する析出物は、温泉に含まれる成分からつくられるもので、長年「かけ流し」を行ってきた証明でもある。

『目に見えない炭酸ガス』による炭酸ガス中毒を防止する上でも、長湯温泉の浴場では、通風口を設けたり、窓を開けたりして換気の循環に配慮を行っている。
                       (万寿温泉浴槽)
A泡の付着する二酸化炭素水素泉。泉温は30度前後とぬるめの為、非常に強い炭酸ガスが放出されている。

「目に見える炭酸ガス」はラムネ温泉の登場で注目を集めたが、『炭酸泉イコール泡の付着する温泉』という過度なイメージが消費者に浸透した。
          (長湯温泉で最も高濃度な二酸化炭素泉の浴槽)